「急に涙が出てきてしまう。なにもやる気が起こらない。」

症状の重い・軽いはあると思いますが、育児中に憂鬱な症状を感じた方は多いのかもしれませんね。どのような原因で産後うつになり、どのように対応し解決すればいいのでしょうか。

先輩ママの体験談から、産後うつの原因や症状、その対応策・解決方法についてみていきましょう。

産後うつの原因

産後うつとは

産後うつとは、出産後に起こるうつ状態のことです。出産後の母親の約10%にみられる症状となっています。

出産後の2週間頃から発生することがありますが、数か月経過してから発症することもあります。

よくマタニティーブルーと産後うつが比較されますが、マタニティーブルーは一時的に情緒不安定になり、しばらくすると自然に回復されると考えられています。

産後うつは、数か月以上もその症状が続くこともあるのでより注意が必要です。

どのようなことが原因で産後うつとなってしまうのでしょうか。

産後うつの原因とは

まず医学的な観点から見ると、産後うつになる原因というものは実はよく分かっていないのが実情です。

「出産によるホルモンバランスの変化」や「心身の疲労」「周囲の環境」などが複雑に絡み合って、産後うつが発症するのではないかと推定されています。

現実的な観点から見ると、やはり「心身の疲労」が主な原因になってきますよね。

また、「夫が育児に消極的」「経済的負担」「赤ちゃんの病気」「夫の父母との同居」「うつ病の既往歴」など、様々な原因で産後うつは引き起こされます。

とにかく出産をして育児をするということは、いろいろな面で心や体への負担がものすごく大きいです。

赤ちゃんは決してこちらの思い通りにはならないですよね。そこが大変なところであり面白いところでもあるのですが、精神的・身体的な負担が大きいのが現実です。

もし自分自身の状態がおかしいのではないかと感じたら、夫や両親、友人、医師などの専門家に相談することをお勧めします。

夫などが異変に気付いてくれればいいのですが、なかなか気付いてくれないことが多いです。

自分自身が「あれっ、おかしい」と感じたら、誰かの助けを借りましょう。まずは誰かに相談してくださいね。

産後うつかどうかをチェック

自分自身が産後うつかどうかを知ることも大事になります。知らないと治療などの対策もできませんからね。

産後うつかどうかの診断は非常に難しいのですが、「エジンバラ産後うつ病自己調査表」などでチェックすることもできます。

「エジンバラ産後うつ病自己調査表」は、1987年にイギリスで開発され、産後うつのスクリーニング・テストとして定着しているチェック方法です。

こちらの「きずなメールプロジェクト」から、簡単なチェックができるので一度試してみてはいかがでしょうか。

また、

・家事や育児をする気が起こらない
・子育てに自信が持てない
・憂鬱である
・楽しくない
・理由がないのに涙が出る
・食欲がない
・赤ちゃんの世話が面倒だ
・イライラする
・赤ちゃんがかわいく思えない
・自分は母親失格だと責めてしまう
・眠れない
・体力が戻らない
・死にたい、消えてしまいた

などの症状が2週間以上続く場合は産後うつの可能性があります。

これらの症状がある場合は、夫や両親・友人、または医師や助産師さん等の医療機関に相談してみましょう。

産後うつの対応・治療方法

産後うつは、まじめな方、完璧主義者の方がなってしまうことが多いようです。

育児は思い通りにいきません。完璧な育児はあり得ないので、まずはそのことを理解しましょう。

たまには夫や親に子供を預けてしっかりと睡眠をとったり、ママ友と食事に行ったりしてストレス解消をしてくださいね。

2017年度からは産後うつの健診が実質無料に

来年度2017年からは、産後うつの予防のための検診費用が国と市町村から助成されることがほぼ決定しました。

出産後の母親が育児への不安や重圧によって精神的に不安定になる「産後うつ」を予防するため、厚生労働省は2017年度から、健診を受ける際の費用を助成する。

産後うつは約10人に1人が経験するとされる。費用助成は産後2週間と1カ月の2回、それぞれ5千円が上限で、国と市区町村が半分ずつ負担する。一般的な健診費は約5千円のため、事業を導入する自治体では補助券などによって多くの人が無料で受けられ、出産した医療機関以外での健診も対象となる。

早めの治療が産後うつでは大事になります。ぜひ積極的に検診などをしてくださいね。

先輩ママの体験談とアドバイス

Hug

漢方薬を処方され飲むようになり、子育てサークルへ参加しました

子供は夜泣きするので、産後1ヶ月くらいで育児してても楽しくないし、常にイライラする感じが続きました。
さらに夫も帰宅が遅く話す相手もいなかったので、婦人科の先生に相談したところ産後うつだとわかりました。
漢方薬を処方され飲むようになり、子育てサークルへ参加しました。
出産後は生活が大きく変わるので、まず生活に慣れない中、育児をしないといけないのでとても大変です。
今までとライフスタイルが変化する自分についていけなくなったり、一人で考え込まずに産婦人科へ行ったり、育児サークルへ入るなど活動してみることは大事です。

予想以上に泣いていることや母乳育児に疲れてしまったことが原因でした

赤ちゃんが生まれてすぐに私は産後うつになりました。
赤ちゃんが泣くものとは知ってはいたものの、予想以上に泣いていることや母乳育児に疲れてしまったことが原因でした。
母乳が思ったより出ないことで、赤ちゃんが泣いてしまうことの繰り返しで気分が落ち込んでいました。
次第に母乳量も落ち着き、両親に手伝ってもらいながら乗り越えました。
初めての子だと分からないことばかりです。
不安なことも多く抱え込んでしまうママがたくさんいると思いますが、周りに相談することも必要だと思います。
なかなか言い出しにくいとは思いますが、スッキリして気分転換にもなります。(茨城県E.S)

「母親失格」と自分を責めまくり、一晩中泣いていました

産後3日目、病院に入院中に産後うつになりました。
初めての子どもで、母児同室だったこともあり、お乳もうまくあげることができず、「母親失格」と自分を責めまくり、一晩中泣いていました。
助産師さんに話を聞いてもらい、翌日からすっきり、普通に過ごせました。
産後は些細なことでも悩んだり辛くなったりすると思います。
私は人に話すことで「自分だけじゃないんだ」と思えることができ、少し自信が持てたので、辛い時は無理をせず恥ずかしがらずに人に話をしてみてください。(兵庫県H.T)

メンタルについても病院など相談する場所を、出産前から考えて用意しておくといいと思います

原因は、おそらくですが、人生で一度も赤ちゃんに接したことがなく、どう扱っていいのかわからなかったので、今にも死んでしまうんじゃないか、と不安だったことだと思います。
また、自分のことだけを考えて生きてきたのに、子供が生まれたとたんに、私は人生の主役から脇役になったと実感したからだと思います。
ホルモンバランスのせいも大きいですが。病院に行く気力もなく、「死んだら楽だろうな」と思いながら、暮らしていました。
自分のせいだとか、思わないで、メンタルについても病院など相談する場所を、出産前から考えて用意しておくといいと思います。
気力や体力が無くなってしまい、産後は自分で動けなくなりますので。
周囲の人に育児をまかせることも大事ですし、まかせることがせきない心境だったら、これはおかしいじゃないか?不安感が強いんじゃないか?と疑ってみるといいと思います。(埼玉県 K.H)

ちょっとでも母子ともにリラックスできればと思い、ベビースイミングに通い始めました

我が家の第1子は、退院直後から想像以上の夜泣きと、昼夜とわず寝てくれず大声で泣く日々が一年以上続きました。
体力的にも精神的にもかなり疲れがたまってどうしようもなく、当時はわからなかったけど、今考えると軽度のうつ状態だったように思います。
そんな状態での同居している義父母からの育児へのアドバイスや意見に、更に私は追い詰められていきました。
そこで、ちょっとでも母子ともにリラックスできればと思い、ベビースイミングに通い始めました。
最初はプールでも大声で泣く状態でしたが、周りのお母さんたちと話す機会が増え、お互いの悩みなど相談しあったりしているうちに、気分が晴れやかになっていきました。
子供もプールに慣れて、母子共に気分転換ができ、精神面の回復ができました。
産後はホルモンのバランスが崩れやすく、落ち着かなかったり、赤ちゃんのお世話に疲れ果てたり…。
自分が楽しめるようなことも考え、時には信頼できる人に赤ちゃんを預けて、友達とのランチなど気分転換することをオススメします。(大阪府 Y.H)

まとめ

産後うつは誰にでも起こる可能性がある病気です。

特にまじめな方や完璧主義者の方などに症状が現れやすいと考えられています。育児はなかなか自分の思い通りには進みませんので、あまり完璧にしようと思わないようにしましょう。

イライラしたり、ストレスが溜まったら、まず夫や両親・友人などに悩みを相談しましょう。

また早めに医療機関に相談することも大事になります。

産後うつが続くと、ネグレクト・虐待・自殺などの取り返しのつかないことになる危険性もあります。

自分一人で抱え込まずに、誰かに相談するということを忘れないようにしてくださいね。