大阪の関西空港周辺ではしか(麻疹)の感染が広がっています。

関西空港周辺ではしかの感染が拡大

先月から、関西国際空港の従業員の間ではしかに感染する人が続々と見つかっていたのですが、新たに従業員だけでなく医師や救急隊員、関西空港の対岸にある「りんくうプレミアム・アウトレット」を訪れた方にも感染者が出ました。

関西空港では、先月以降、従業員31人がはしかと診断されていて、大阪府は4日、新たに4人の感染が確認されたと発表しました。
新たに感染が確認されたのは、関西空港で働く20代の女性従業員1人と、医療関係者2人、それに大阪府内に住む30歳代の男性1人です。
このうち医療関係者は医師と救急隊員で、はしかの感染が確認された従業員の診察や搬送をしたことがあり、30歳代の男性は先月28日に空港の対岸にある大阪・泉佐野市のショッピングセンター「りんくうプレミアム・アウトレット」を訪れたことがあるということです。

これはちょっとまずい状況ですよね。

関西空港内だけでなく、徐々に周辺地域にも感染が広がっています。

はしかは非常に感染力の強いウイルスなので、爆発的に感染が広がってしまう恐れがあります。

しかも発症する前にも感染が広がる可能性がある厄介なウイルスなのです。

はしかは10日前後の潜伏期間があるのですが、はしかの症状が出る1日前ぐらいに体内ではウイルスが爆発的に増えていることがあります

この症状が出る前にウイルスを拡散し他人に2次感染させてしまうことがあるので、体調は普段と変わらないのに、実は自分が感染源になってしまっているということもあるのですね。

発症したら外出をしないように

8月14日に、千葉県の幕張メッセで行われたジャスティンビーバーのコンサートの観客が、実ははしかに感染していたということが先日発表されていました。

厚労省などによると、男性は兵庫県西宮市在住の19歳。海外で感染したとみられ、家族3人も感染が確認された。男性は9日に39度を超す熱が出て、その後、全身に発疹も表れた。13~15日に神奈川、千葉、東京を訪ね、14日には幕張メッセであった人気アーティストのジャスティン・ビーバーのコンサートに出かけていたという。19日に西宮市内の医療機関ではしかと診断された。

このケースはすでにはしかが発症していたのに外出をしたケースですが、もし高熱と全身の発疹の症状が出たら会社や学校を欠席し、早急に病院に行きましょう。

この利用者も関西空港を利用していたようなので、最低でも8月の上旬から関西空港でははしかの感染が広がっていたと推定されます。

はしかの潜伏期間は最長で14日程ということなので、2週間以内に関西空港を利用したことのある人は、今後しばらくの間注意をしたほうがいいでしょう。

しかしながら、今回はなぜこんなにも関西空港ではしかが大流行してしまったのでしょうか。

はしかの免疫がない人は意外と多い

はしかというと一昔前の病気というイメージを持っている方もいるのかもしれません。

2008年にはしかが日本で大流行し患者数が1万人を超えたことは記憶に新しいですが、それ以前の2000年には患者数が約28.6万人と推定される大流行が起こるなど、残念ながら現在でも定期的に流行してしまっています。

日本ではワクチン接種の推奨などにより、なんとかはしかの流行を何とか抑えてきました。

しかし完全に麻疹を封じ込めることができているかというと、今回の関西空港での集団感染のようにできていないのが現状です。

なぜこのように感染が広がってしまうのかというと、はしかの免疫を持っていない人が意外と多いからといえるでしょう。

はしかは感染力が高い

はしかは感染力が非常に高いので、はしかの免疫がない人が感染者と接触すると、かなり高い確率で感染してしまいます。

接触感染や飛沫感染だけでなく、空気感染もしてしまうのですね。

恐ろしい空気感染

インフルエンザはうつりやすいとよく言われますよね。

しかしインフルエンザは基本的に接触感染と飛沫感染が主な感染経路で、空気感染はほとんどしません。

もちろんゼロではないのですが、基本的に空気感染の恐れはほとんどないと考えられています。

しかしながらはしか(麻疹)は、空気中に漂っているウイルスを吸い込むことで感染してしまうという非常に強い感染力を持っています。

インフルエンザなどは手洗いをすることでかなりの感染を防げますが、はしかは空気感染をしてしまうので、手洗いですらあまり効果がないのです。

はしかの免疫がない人が、はしかに感染した人のそばにいるだけでかなりの確率で感染してしまう怖いウイルスということですね。

それでははしかの感染を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

はしかのワクチンを2回接種しましょう

はしかにはワクチンがあります。

今ブラジルやシンガポールなどで流行をしているジカ熱などの感染症は、ワクチンというものがありません。

よく子供の間で流行するヘルパンギーナや手足口病もワクチンがありません。

しかしはしかにはワクチンがあるので、ワクチンをきちんと摂取しておけば感染をほぼ防ぐことができます

とくに妊婦はリスクが高い

とくにこれから妊婦になる可能性のある年代の方は、はしかのワクチンをきちんと接種しておいたほうがいいと思います。

はしかは妊婦が感染すると、早産や流産のリスクがかなり高くなってしまいます

もし今後妊娠の可能性がある年代ではしかのワクチン接種をしていない方は、早急に麻疹ワクチンを接種することをお勧めします。

乳幼児の感染も注意が必要

乳幼児がはしかに感染すると症状が重くなることが多いです。

はしか・風疹の混合ワクチンは、1歳以上になったら接種することができます。

逆に言うと、1歳未満の赤ちゃんははしかに無防備ということです。

赤ちゃんがはしかに感染するルートの多くは家族からだと考えられます。

赤ちゃんにはしかをうつしてしまわないように、家族がきちんとワクチン接種をすることが大事になってくるということですね。

ワクチンを接種しよう

2008年からはしかワクチンの2回接種がかなり推奨されたので、当時の5歳~22歳のワクチン接種率は非常に高くなっています。

しかし100%のワクチン接種率ではありません。

中には残念ながらワクチン接種をしていないので、はしかの免疫がない方がいます。

またワクチンを接種していても、1回だけの方もいるようです。

はしかのワクチンは、1回だけだと完全にウイルスの感染を防ぐことはできません。

もしはしかのワクチンの2回接種をしていない方は、きちんと2回ワクチン接種をすることをお勧めします。

今後すぐには、関西空港のはしか集団感染は終息しないかもしれません。

特に関西空港を利用する必要のある方は、早急にはしかの免疫の有無を調べ、もし免疫がない場合はワクチン接種を受けてくださいね。